ネオの一日・診療の裏側

動物病院の朝は、入院している子たちの世話から始まります。

動物病院の朝は、入院している子たちの世話から始まります。
看護師たちは、一匹一匹に声をかけ、見て、触って、その子の
病気の経過から必要な観察を的確に行います。
とても重症の子がいると、切なく、つらいのは皆同じ。
そんな日は、何となく、皆、寡黙になってしまいます。
でも・・・
離れて私たちに託して下さっているご家族はもっとつらい。
離れて頑張っている動物たちはもっとつらい。
だから、一番そばにいる私たちが、動物たちに優しくしてあげたいし、
本当に必要で意味のある治療や看護をしたい。
そのためには、私たちが、強く、賢く、優しくなければ… そう思って日々、皆、頑張っています。

外来がはじまります

外来が始まります。
看護師たちの忍者のような動きは素晴らしいです。
電話で呼吸の悪そうな子が来ると聞いたら、
酸素室やエマ-ジェンシ-の準備、血管留置の準備、レントゲンの準備等々…
何も指示しなくてもあ・うんの呼吸でササ-ッと揃います。
本当に素晴らしいなぁ…
生命を救うパワ-を彼女たちからもらっている気がします。

毎日のように点滴に通っておられる方もおられます。
本当に頭が下がります。
暑い日も寒い日も雨の日も・・・です。
簡単なことではないです。
愛情以外の何物でもないです。
そんな方に限って、「私は何にもしてやれなくて・・・」
と恥ずかしそうにおっしゃいます。
動物たちにとって、1本の注射よりも数百倍尊いものなのに・・・
本当に、教えられます。私たちも、応えたいです。

お昼からは手術です

避妊手術や去勢手術はもちろん、整形外科や軟部外科、最近は腫瘍外科も 多くなってきました。 私は大学では外科に所属していましたし、獣医師になって35年間、 本当にたくさんの手術をしてきました。 数えたことはありませんが、何千匹・・・だと思います。 それでも、手術というものは、重責のある、緊張するものです。 10年以上前、小鳥の手術をする際に、 「この子に家族の声を聞かせてやってほしい…」 と、テープに吹き込んで持って来られた方がおられました。 お父さんとお母さんの声が一生懸命録音されていました。 非常にリスクの高い手術でしたので、 万一のことも考えられての思いの込もったものでした。 そのテ-プを聞きながら、汗をかきながら手術をしたことを いまだによく思い出します。 手術は無事成功し、元気に返すことができました。 ご家族の気持ちを真正面から受け止め、引き受ける度量を 学んだと思っています。 手術は、執刀者と助手と麻酔係でチ-ムを組んで臨みます。 皆、緊張感と責任感をパワ-に変えて、臨みます。 無事終了したら、お電話します。 コール1回で出られることもしばしば・・・ 家族の思いが、沁みます。

診療が終わって・・・

カルテをすべてチェックして、今日の診療内容を検証します。 看護師も獣医師も、全員が、同じカルテ上に、 自分の所見、考え、プラン、患者さんにお話ししたことなどを すべて書き込み、その子のことを誰もが把握できるようにします。 獣医師間でも、担当医の考えやご家族の考えがきちんと伝達され、 継続してその子を診ることのできるようにしています。 看護師も、獣医師の治療の目的や検査の意図、ご家族の考えを きちんと理解できるようにしています。 看護師間でも、動物の容態だけでなく、ふだんの様子や性格、 ご家族の思いなどが細かく伝えられています。 その上で、それぞれの意見を交換します。 このようなチ-ム医療を実践することで、 単に病気だけを相手にしない、家族を看る診療ができると考えています。

POSに則った診療システムのカルテの一部をご紹介します。

元気になって退院する子のいる日!

元気になって退院する子のいる日! これはもう、嬉しい!!
そして、次に来たとき、笑って、尾を振って入って来てくれた時は、 もっと嬉しい!!!
「この子、大事にしてもらったんやねぇ。喜んで入って来る。」って 言ってもらえた日にゃぁ・・・!!!もっともっと嬉しい!!!!

皆、つらいこともいっぱいあるけど、やってて良かった~と思います。

動物たちやご家族に癒され、励まされて、パワーをもらって、 それをまた動物たちやご家族に還元する・・・
そんな毎日の動物病院です。 これをエネルギ-保存の法則と私は勝手に呼んでいて、 これからもずっとそうありたいし、
もっともっと全国に広めたいな・・・と思っています。