外来診療のカルテ
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①外来診療のカルテです。
「SOAP」
担当医は、問診と身体検査から問題点を見つけていきます。
そこから、分析、評価をし、各問題点毎に今後の治療プランを立てます。
POSでは、SOAPという思考をして、漏れや思い違いのない思考を心がけます。
SはSubjective DataのSで、主観情報つまり、飼い主さんのおっしゃる情報のことです。
OはObjective DataのOで、客観情報つまり、私たち獣医師や看護師などの
専門家が身体検査したり、血液検査したりして得る情報です。
AはAssesmentのAで、SとOから得られた情報からの評価です。担当医の意見、
診断、予後の見通し、検査デ-タの解釈などです。
PはPlanのPで、これから行おうとするプランです。治療プラン(Tx)、診断プラン(Dx)
に分けて記入します。
次はいつ再診で何のために何をするのか、目的を持った:継続診療をしていきます。
カルテに担当医の考えを詳しく書くことで、患者の病気の状態やこれからどうしていくのか、獣医師同士はもちろん、看護師にも細かく伝わり、再診の
目的も皆でしっかりとわかり合って進めていくことができます。
入院のカルテ
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②入院カルテです。
「獣医師のInitial Plan」
まず、担当獣医師が、Initial Plan(初期計画)を考えます。
意義のある入院にするため、こうなってほしいという+(プラス)の目標、
こうなってはいけないという-(マイナス)の目標を書きます。
起こりうる併発症も考えうる限りたくさん書きます。
マイナスのことを考えるなんて縁起でもないって思われるかもしれませんが、
実はこれが大変大切なことで、何ととなく入院させて何となく見ているのでは
見逃しがちな悪化傾向を、「意識する」ことで、いち早く見つけることができます。
悪いことをどれだけ考えられるかが、獣医師の能力だと私は思います。
「Client Education」
担当医がご家族と話した内容や、ご家族のお気持ちなどもカルテに記入します。 皆がご家族の気持ちを理解し、病気だけを相手にしたり、独りよがりの診療にしないためです。動物とご家族にしっかりと関わるためです。
「Nursing Plan」
獣医師のInitial Planを受けて、担当医と担当獣医師とが充分なディスカッションをし、 看護師は、Nursing Plan (看護計画)を考えます。
看護計画は、まず、食事や環境、清拭といった、基本的な生活に必要な7つの項目(基礎的ニ-ズ)についてを考えます。その子の日頃の生活をお聞きした上で、 できるだけ、安心できるよう、その子の日常に近づけたいと思っています。
開業当初、どうしてもフ-ドを食べないので、お聞きすると、食器からだと食べない、いつも広告の紙の上において食べさせているとのこと。 早速そのようにすると、バクバク食べてくれました。かわいそうなことをしました。前もって生活習慣を聞いておくことの大切さを実感した次第です。
看護師は、いかに、病気と闘う楽しくない入院生活を、優しく包んでやれるか、そんなに嫌じゃなかったなと思ってくれるようにするか。。。にエネルギ-を注いでいます。
皆さんも、これはぜひとも言っておきたいということがあれば、遠慮なく伝えてください。
また、看護師は、病気の動物の身体的苦痛はもちろん、精神的苦痛を取り除いてやるためにはどう看護すればよいかを考え、具体的なプランを立てます。 獣医師と同じように、プラスの目標とマイナスの目標を掲げ、自分を律します。
次に、獣医師のInitial Planが遂行されるよう、ケア計画を立て、処置や検査の采配を行います。
限られた時間で、効率よく治療や検査が進められるのも、看護師たちの采配のおかげです。
そして、マイナスの目標に近づいてしまわないよう、しっかり観察して、早期発見、早期治療に努めます。それが観察計画です。
入院の体温表
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③入院の体温表です。
実際にこれらの計画を遂行し、記録するツ-ルとして、体温表を使用しています。
尿量を細かく測定したり、体重を記録したり、動物たちに注射をしたり、点滴をしたりと
いったたくさんの:検査や処置を間違いなく、計画通りに行うための必須アイテムです。
万一インシュリンなどを2重にうったりしたら大変です。そういう医療事故を防ぐために、
口頭でももちろん声を掛け合い、体温表にすぐにサインをする習慣を徹底しています。
「命も人の気持ちも取り返しがつかない」
当たり前のことですが、白衣を着ていることに責任を持ち、奢ることなく自分を戒めています。
そしてお互いに厳しくチェックもし合っています。肝心要のところを馴れ合いで済ます病院には
絶対にしたくないと思っています。
往診のカルテ
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④往診のカルテです。
高齢で通院の難しい子などは、往診で伺うこともよくあります。
往診は、いいもんです。診察室ではわからないその子の素顔やご家族の気持ちが見えてきます。
その子がご家族にどんなに大事にされているか、寝床やおもちゃ、食器や写真。。。
全てにしみ込んでいます。
往診の帰り道、看護師と自転車をこぎながら、「幸せそうやなぁ」「ほんとですねぇ」という会話を
することもしばしば。。。
往診で長くおつきあいした患者さんとは、とても仲良くなっちゃったりもします。
このカルテは、そんな方との一コマです。
初めは、闘病生活の支えになれたらという思いで通うのですが、次第に家族の一員として関わらせて
もらっているような幸せな気持ちになり、感謝の気持ちがわいてくるんですよね。。。不思議ですね。